寅彦日記(仮)

何の変哲もない会社員がブログによる収入を得るまでに試行錯誤する記録を綴ります

混合気体

先日は理想気体の状態方程式について書きました。これを少し応用させた形として混合気体というものがありますが、今日はこれについて少し触れたいと思います。

 私たちの身の回りに存在する気体は単一の気体というよりは、むしろ混合気体であることの方が多いです。例えば空気はざっくりいうと窒素と酸素のおおよそ4:1の混合気体です。このような混合気体を取り扱う際にいくつか覚えておいたほうがよい法則があります。混合気体における圧力、体積、あと熱容量などには加成性があります。つまり圧力に関して言えば、混合気体の圧力(全圧ともいいます。)は、混合気体を構成する個々の気体の圧力(分圧ともいいます。)を足し合わせた合計である、ということです。このような法則は理解する、というか慣れておくと(職業によっては)役に立ちます。

1.ドルトンの分圧の法則

 成分の種類が1、2、3…i混合気体がある場合、成分が単独で、一定の温度、ある体積を占めるときの圧力が成分の分圧です。この分圧をpiとすると、「全圧pはすべての成分の分圧の和となる」、これが「ドルトンの分圧の法則」です。式で書くと、

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という感じです。

2.モル分率、体積分

 また、同一温度、同一圧力のもとでi 成分が占める体積をViとして、理想気体の状態方程式を上の法則に当てはめると、混合気体に占めるi 成分の分圧piは次の様な形でも表すことが出来ます。

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ここで、nmix 混合気体のモル数、ni はi 成分のモル数ですからni / nmix はi 成分のモル分率であり、同様にVi / Vmix はi 成分の体積分率です。

3.モル質量(分子量)、質量分率、あと熱容量

 まずモル質量(分子量)とモル数、質量の関係は次の通りです。

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ここでmは質量(単位はkg)、nはモル数、Mがモル質量(単位はkg/mol)です。

混合気体のモル質量やモル熱容量も圧力と同様に加成性があり、式で表すと次の様になります。

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ここでCmはモル熱容量(単位はJ/(mol・K))です。熱容量に関することはまたどこかで書きたいと思いますが、とにかくいずれの物理量も各成分の値とその分率を掛け、その合計が混合気体の性質を表している、という関係であることが分かると思います。

ちなみに各成分の質量分率は、

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で計算することが出来ます。

 例えば全圧0.1MPaで、窒素79%、酸素20%、水蒸気1%の3成分の混合気体の各物性値は次の様な感じでしょうか。

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4.それでは問題です。

 0.1MPaの大気、27℃のもとで60kgの水(液体)が内容積5m3の容器に入っている。容器にふたをして加熱すると水が(蒸発して)60kgから58kgに減少した。このときの気相中の酸素のモル分率はいくらか。加熱前の気相成分は窒素:酸素=4:1の乾燥大気で、気体は理想気体とする。なお、水(液体)の体積は無視してよい。

 

 如何でしょうか。答えはまた今度紹介します。

 

ではでは。